脳神経外科

診療方針

 「脳神経外科とは脳、脊髄、末梢神経を含むすべての神経系およびそれらに関連する骨、筋肉、血管などの疾患の予防、診断、手術を含む総合的医療、リハビリテーションなどに関与する診療科」と定義されています。京都第二赤十字病院脳神経外科では、高度急性期医療を担う病院として、脳血管障害や頭部外傷などの救急医療と脳腫瘍を中心に診療しています。

脳血管障害:くも膜下出血や脳出血の治療のほか、脳主幹動脈の狭窄や閉塞に対し、頚動脈内膜剥離術、頚動脈ステント留置術やバイパス手術を行っています。

 1.くも膜下出血・脳動脈瘤

 くも膜下出血の治療は、出血の原因の大部分が脳動脈瘤の破裂ですので、脳動脈瘤に対し、開頭クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術を実施しています。治療法の選択は、年齢や全身状態、各種の画像データを総合的に検討し行っております。(⇒脳卒中ホームページ

 2.脳出血

 脳出血の中でも血腫が大きく、症状が重篤な場合には血腫除去術を行っています。血腫が比較的小さく、状態が安定している場合には、侵襲が少ない穿頭血腫吸引術や内視鏡下血腫吸引術を行います。(⇒脳卒中ホームページ

 3.主幹動脈狭窄・閉塞

 頚動脈に高度の狭窄があり、今後、脳梗塞の危険性が高いと判断される症例は、手術適応を脳神経内科医と十分な検討をして、狭窄部を拡大する手術を行っています。
 手術法には、狭窄部を切開し、肥厚した内膜を切除する「頚動脈内膜剥離術」と、カテーテルを用いバルーン(風船)で狭窄部を拡張した後に、ステント(金属性の筒)を留置する「頚動脈ステント留置術」があります。治療法の選択も、年齢や全身状態、各種の画像データを脳神経内科医と総合的に検討し行っております。 すでに、血管が閉塞し、脳への血流が低下している症例には、頭皮の血管(浅側頭動脈)と脳の血管(主に中大脳動脈)を吻合するバイパス術を行っています。
 当科では、脳血管の手術をより安全に行うために、手術中は脳機能をモニタリングしたり、手術中の脳血流を、脳血管ドプラー検査や術中蛍光血管撮影で評価したりしています。

pdf内頚動脈狭窄症の治療

頭部外傷:交通事故や高所からの転落のような高エネルギー外傷では、頭部以外の外傷も併発していることが多いので、救急科を中心に診療科の垣根を越えた「オール第二赤十字病院」体制で治療しています。

 1.重症頭部外傷

 最近は、高齢者の重症頭部外傷患者が増加しているため、侵襲度の低い小開頭での血腫除去術を中心に行っています。手術後は、頭蓋内圧計を脳内に留置し、頭蓋内圧をモニタリングしながら全身管理を救急科医と協力して行っています。

 2.慢性硬膜下血腫

 高齢者では、軽微な外傷の1~2ヵ月後に、脳の表面に血液がたまり、手足が動かしにくくなる慢性硬膜下血腫を発症することがあります。頭蓋骨に10円玉ほどの穴を開け、血液を洗い流す手術で、症状は急速に改善します。

 心房細動のため、脳梗塞予防目的に抗凝固薬を内服されている方や脳梗塞や心筋梗塞の予防に抗血小板薬を内服されている方は、転倒や転落の際に頭蓋内出血をきたしやすく、受傷後急速に意識障害が進行する割合が高いです。そのため、抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬)内服中に頭部を受傷された方は、軽症であっても病院受診をお勧めいたします。

脳腫瘍

 1.良性脳腫瘍(髄膜腫・神経鞘腫・下垂体腺腫)

 良性腫瘍は摘出することで根治することができるので、手術を第1選択と考えています。手術をより確実に安全に行うため、手術部位が正確に把握できるナビゲーションシステムや手術中の脳機能評価する運動誘発電位などの神経モニタリングを使用しています。
 手術中のナビゲーションやモニタリングは、専門のスタックと協力して行っています。 しかし、神経や血管を巻き込んでいて全摘出することが困難な場合は、ガンマーナイフなどの定位放射線療法を選択することもあります。
 下垂体腺腫は、より侵襲の少ない内視鏡下腫瘍摘出術で治療しています。

 2.悪性脳腫瘍

 手術は後遺症の出ない範囲で、できるだけ腫瘍を摘出するようにしています。そのためには、良性腫瘍同様、ナビゲーションシステムと神経モニタリングを駆使し、さらに腫瘍部分をレーザー光で発光させる術中蛍光診断も利用しています。手術後は必要に応じ、化学療法や放射線療法を追加しています。

診療実績

  2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
外傷性頭蓋内出血(慢性硬膜下血腫) 145 109 109 130 130
高血圧性脳内出血 39 46 40 39 59
脳動脈瘤 46 30 33 41 21
脳動静脈奇形 2 2 2 3 2
脳主幹動脈狭窄 60 81 83 81 86
脳腫瘍 28 30 35 27 15
水頭症 31 25 40 26 41
小児脳神経外科 1 0 0 1 0
脊髄・機能外科 1 0 0 1 0
その他 20 46 34 45 20
総数 373 369 376 394 374

診療所・病院の医師の方へ

 その他の脳神経外科治療も行っていますので、ご相談したい患者さんがおられましたら、お気軽にご紹介ください。救急の場合には、直接、地域医療連携室にお電話いただけると、脳神経外科のスタッフが対応させていただきます。

スタッフ

職 名 名 前 卒年 専 門 資 格
部 長 murakami_nDr村上 陳訓 S63

脳卒中の外科治療

脳腫瘍

日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医・指導医
日本脳卒中学会 認定脳卒中専門医・指導医
日本脳神経外傷学会 認定指導医
医 長 荻田 庄吾 H19

脳卒中の外科治療

脳血管内治療

日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医・指導医
日本脳卒中学会 認定脳卒中専門医
日本脳神経血管内治療学会 脳神経血管内治療専門医
医 師 岡本 貴成 H26   日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
日本脳神経血管内治療学会 脳神経血管内治療専門医
日本脳卒中学会 認定脳卒中専門医
日本神経内視鏡学会 技術認定医
医 師 竹内 康浩 H31    

外来当番表

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
AM 1診 村上 担当医 村上
(脳腫瘍)
担当医 竹内
2診 荻田/岡本   萩田    
PM2時~
特殊外来
(紹介、予約のみ)
1診 村上        
2診