形成外科

診療方針

 形成外科とは、身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して治療を行い、生活の質(Quality of Life)の向上を目指す診療科です。治療の中心は手術ですが、内服治療、器具による矯正、医療用レーザーなどの非手術的治療も行います。
 日本の医療全体を見ると、形成外科は比較的新しい診療科です。当院形成外科の開設は昭和52年と京都でも早く、長く市民の皆様の身体と心の健康に寄与してきました。今後も新しい技術を取り入れながら、地域の中核的な急性期病院としての役割を果たしてまいります。

当科の外来診療について

一般外来

 当科ではどの医師も、専門分野に限定することなく、広くすべての患者さんを受け入れています。また、比較的経験の浅い医師であっても、随時、相談・指導をしながら診療を進めておりますので、治療の質に差はありません。したがって、ご紹介いただく際には、医師を指定する必要はなく、患者さんの都合と受診予約枠の空きがマッチするところで予約をお取りいただければ結構です。

フットケア外来

 当科では難治性足潰瘍の治療を専門とするフットケア外来を開設し、当科および循環器内科・糖尿病内科で連携を取り、集学的な足病治療を行っております。フットケア外来では毎週木曜に診療を行っていますが、基本的に再診の方のみとしております。初回は患者さんのご都合と病状に合わせて一般外来へご紹介ください。

患者さんを紹介いただく医療機関の先生方へ

 平素より大切な患者さんをご紹介いただき、誠にありがとうございます。当院は地域医療支援病院であり、地域の先生方から患者さんをご紹介いただくことで成り立っています。しかし、当科では初診専用外来を開設するに足る人員がなく、初診・再診の区別なく予約をお取りしているため、予約の取りにくい曜日・時期がございます。患者さんの病態に合わせてスムーズに紹介予約をお取りいただけますよう、以下の点につきましてご協力いただけますと幸いです。

・急を要する病状の患者さんにつきましては、ご紹介の際にその旨お伝えください
 受傷後間もない外傷・熱傷・骨折の患者さんにつきましては、円滑な手術計画のため、なるべく早くに当科を受診いただきたく存じます。当日すぐの受診は時間帯によって難しいこともございますが、その場合は翌日・翌々日の受診をご案内いたします。その他、止血困難・重症感染症などで緊急対応が必要な場合は、救急外来の受診をご案内することもございます。急を要する病状の患者さんにつきましては、ひとまず、紹介の際にその旨ご連絡をお願いいたします。

・紹介状に逆紹介の基準を記載いただけますと幸いです
 近年形成外科を標榜する医療機関は増加しつつあるものの、当科へ来られる患者さんの多くは皮膚科・外科の先生方からご紹介いただいております。ただ、当科での治療がひと段落した患者さんであっても、医療機関によって対応可能な範囲が異なるため、当院からの逆紹介に迷いが生じる場合がございます。特に、皮膚軟部組織感染症、難治性足潰瘍(フットケア)、褥瘡などの患者さんをご紹介いただく際、どの程度まで治療が進めば逆紹介の受け入れが可能か(例:皮膚膿瘍に対する切開処置後ガーゼ交換の可否、難治性足潰瘍に対する治癒後胼胝削り・爪切りなどフットケアの可否、褥瘡など完治の難しい皮膚潰瘍に対する継続処置の可否)を含めて紹介状に記載いただけますと、大変参考になります。逆紹介を増やし再診予約を減らすことで初診予約を取るためのゆとりができ、結果としてスムーズな紹介受け入れにつながります。先生方のご協力を何卒よろしくお願いいたします。

当院における形成外科専門研修について

 当院形成外科は、専門医制度に基づく「京都府立医科大学形成外科専門研修プログラム」(https://jsprs.or.jp/specialist/shutoku/seido/pdf/65.pdf)の連携施設です。したがって、当院での形成外科専攻医としての研鑽は、上記専門研修プログラムの下で積んでいただくことになります。見学・問い合わせは随時受け付けており、京都府立医科大学形成外科と連携した見学日程(例:1日目に京都府立医大付属病院を見学、2日目に当院を見学、など)を調整することも可能です。御連絡をお待ちしています。

連絡先)京都第二赤十字病院 教育研修課
TEL:075-231-5171  E-mail:kyoik@kyoto2.jrc.or.jp

形成外科が治療対象とする疾患

 形成外科が対象とする疾患は、新鮮外傷、新鮮熱傷、顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷、唇裂・口蓋裂、手・足の先天異常、外傷、その他の先天異常、母斑、血管腫、良性腫瘍、悪性腫瘍およびそれに関連する再建、瘢痕、瘢痕拘縮、肥厚性瘢痕、ケロイド、褥瘡、難治性潰瘍、その他(眼瞼下垂症、顔面神経麻痺、リンパ浮腫など)などです。専門とする臓器が決まっておらず対象疾患が多岐にわたりますが、大まかに言えば、見た目が問題になる部位の治療、治りにくい傷の治療、傷あとの治療を形成外科で行います。具体的に当院で行っているのは以下のような内容です。

1.顔面、頭部、手足の外傷、熱傷(切り傷、すり傷、やけど)
 皮膚に生じたあらゆる種類の傷を当科で治療します。他院で縫合を受けたあとの処置も承ります。出血が止まらない、広範囲の熱傷など、緊急処置が必要な場合は、救急外来を受診していただきます。
 手指の外傷のうち骨折・腱損傷などは、当院では整形外科が扱っています。切断指および皮膚軟部組織欠損や血管損傷を伴う重症四肢外傷については、当科と整形外科で協力して行います。
2.顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷
 頬骨骨折、眼窩底骨折など中顔面の骨折を多く扱っています。咬み合わせが関係しない骨折については、吸収性プレートを用いた固定術を行います。下顎骨骨折など、咬み合わせが関係する骨折については、チタンプレートを用いた固定を行います。

3.顔面・手足・その他の先天異常
 副耳、耳瘻孔などの耳の異常や、その他の先天的な体表の異常について、手術治療を行います。埋没耳などに対する耳の装具治療も行っています。手足の奇形(合指症、多指症、絞扼輪などの指の数や形の異常)や臍ヘルニアなどの臍の変形に対する治療も行っております。口唇口蓋裂については京都府立医科大学と連携しながら、治療に関する相談を受け付けています。

4.母斑(あざ)、血管腫、良性腫瘍(ほくろ、いぼ、粉瘤)
 様々な皮膚腫瘍・皮下腫瘍に対して摘出術を行っております。大きな腫瘍を切除した場合などに生じる組織欠損に対しては、できるだけ目立たない傷跡になるように皮弁法や植皮などを用いて再建します。手術での切除が中心ですが、レーザーでの治療をお勧めすることもあります。レーザー治療の対象となる疾患(血管腫、太田母斑など)については、診断の後、治療可能な機関へご紹介します。なお、当院では美容目的の治療は行っていませんのでご了承ください。

5.悪性腫瘍およびそれに関連する再建
 皮膚がんの切除と、それによって生じる傷を閉じるための手術(皮弁術、植皮術など)を行います。詳しくは各種手術の詳細をご覧ください。皮膚がん以外にも、乳がん切除後の乳房再建や、頭頚部がん切除後の再建、骨・軟部腫瘍切除後の四肢再建も行います。これらの再建外科手術では、マイクロサージャリー(顕微鏡下での微小血管・神経縫合)を用いた遊離組織移植を行います。乳房再建ではシリコンインプラントを用いる方法、自家組織(腹部穿通枝皮弁・広背筋皮弁など)を用いる方法など、ご本人の希望に合わせた治療が可能です。

6.瘢痕拘縮・ケロイド・肥厚性瘢痕
 「傷あと」に関するあらゆる問題に対処します。拘縮(引きつれ)が生じて機能的に問題がある場合は当然のこと、傷をなるべくきれいに治すための処置・アドバイスも行っています。体質によって生じる肥厚性瘢痕・ケロイドといった傷あとのトラブルに対して、外用剤・内服薬・注射薬・手術・放射線治療などを組み合わせた集学的治療を行います。

7.難治性潰瘍・褥瘡・足潰瘍
 「床ずれ」を中心とした、治りにくい傷に対して、手術治療や生活上のアドバイスをします。高齢の方については、入院・手術を含んだ積極的治療がご本人の意向や身体的状況に沿わない場合があります。状況に応じて、無理のない治療をご提案します。他院・他科の手術後で傷がなかなか治癒しない場合も、当科で治療を行います(紹介が必要です)。
 動脈硬化や糖尿病によって生じる足の傷については、循環器内科・糖尿病内科・心臓血管外科・専門看護師と共同して、術後のQOL(生活の質)を重視した治療を行います。その他の血流障害やリンパ流の障害で生じる潰瘍を含め、フットケア専門外来を開設し診療にあたっています。

8.その他の疾患:眼瞼下垂、爪の変形(陥入爪、巻き爪、外傷後の変形)、腋臭症など

・眼瞼下垂
加齢性眼瞼下垂、先天性眼瞼下垂について手術治療を行っています。症状に応じて余った皮膚の切除、挙筋(まぶたをあげる筋肉)の短縮、筋膜の移植によって治療を行います。

・リンパ浮腫
外科手術などの後に生じたむくみ(リンパ浮腫)に対して治療を行っています。むくみの軽減のため、圧迫療法やスキンケアといった複合的治療やリンパ管静脈吻合術を用いた手術療法を行っています。

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 スタッフ

職 名 名 前 卒業年度 専 門 資 格
部 長 恋水 諄源 H19 形成外科全般
マイクロサージャリー
再建(乳房・四肢)
創傷外科
(外傷・熱傷・難治性潰瘍)

日本形成外科学会 形成外科専門医・領域指導医・皮膚腫瘍外科分野指導医
日本創傷外科学会 専門医・評議員
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
日本臨床倫理学会 上級臨床倫理認定士
京都府立医科大学 臨床講師
大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学 招へい教員

医 師 田中 大基 H31    
医 師 谷口 史織 R2    
医 師 中島 里佳 R4 形成外科全般  

外来当番表

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1診 AM   谷口      
2診 AM 恋水 田中   中島 谷口
PM