カリキュラム
各分野の考え方 赤十字科目のねらい
赤十字の教育施設で養成された学生は、これからの超少子高齢社会において、地域の災害対応や保健、医療、福祉等の分野で重要な役割を担う存在であり、かつ国際性も涵養し国内外のあらゆるフィールドで活躍できる人材となることを期待されている。
これらの役割を担う赤十字看護師となる基礎的能力を養うために赤十字科目を置く。赤十字科目は学生が赤十字の教育施設で学ぶ意味を自ら見出し、探究する中で、赤十字プライドを持ち、将来赤十字事業を担う看護師になることを目指すための科目である。
基礎分野
基礎分野の科目における教育内容は<科学的思考の基盤>と<人間と生活・社会の理解>で構成される。<科学的思考の基盤>」では科学的思考力及びコミュニケーション能力を高め、感性を磨き、自由で主体的な判断と行動を促す内容を学ぶ。科目としては、「情報リテラシー」「医療とAI」「倫理学」「学びの技法Ⅰ」「学びの技法Ⅱ」「人間関係論」を設定した。
<人間の生活・社会の理解>」では、人権の重要性を理解するとともに人間と社会の仕組みを幅広く理解する内容、さらに国際化へ対応しうる能力の育成のための内容を学ぶ。科目としては「いのちとセルフケア」「社会学」「心理学」「グローバルヘルス・異文化論」「医療英語Ⅰ」「医療英語Ⅱ」「人権と赤十字」「赤十字活動論」を設定した。
基礎分野内の赤十字科目
【人権と赤十字】 1単位 30時間
今日の人道上の問題をとりあげ、国際人道法の成り立ち、原則及びその履行確保について学ぶ。人道支援を行うに必要な行動規範について学び、人道の実践者となる看護師として、必要な資質を身につける。
【赤十字活動論】1単位 15時間
看護の原則である人道を実践するために、国や地域を超えて活動している組織について学び、人々のいのちと健康、尊厳を守るための基礎的能力を身につける。
【医療英語Ⅰ・Ⅱ】 2単位 60時間
他言語(英語)を学び、積極的にコミュニケーションを図ろうという意欲が持てる。
医療や臨床で使う英語を学び、使えるようになる。
【異文化論・グローバルヘルス】1単位 30時間
グローバルな視野から健康問題を考えることができ、その背景について興味をもつことができる。自分たちと他国の民族がもつ健康観や保健行動などとの違いを理解し、それぞれの文化に適した看護を提供するための考え方を学ぶ。また保健医療分野における国際機関の役割や活動を理解する。
専門基礎分野
専門基礎分野の教育内容は、<人体の構造と機能><疾病の成り立ちと回復の促進><健康支援と社会保障制度>で構成される。人体を系統立てて理解し、健康・疾病・障害に関する観察力、判断力を強化する内容を学ぶ。また、保健医療福祉を取り巻く社会の動向を理解し、地域の人々が生涯を通じて、健康や障害の状態に応じて社会資源を活用できるように必要な知識と基礎的な能力を養う内容を学ぶ。また当校は赤十字の教育機関であり、災害医療に関すること、赤十字救急法を含む内容を学ぶ。
<人体の構造と機能>では、「解剖学Ⅰ・Ⅱ」「生理学Ⅰ・Ⅱ」「健康と生化学」を設定した。<疾病の成り立ちと回復の促進>では「健康と栄養」「微生物と感染症」「疾病基礎論」「疾病論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ」「診断治療学Ⅰ・Ⅱ」「災害医療論Ⅰ」を設定した。<健康支援と社会保障制度>では「災害医療論Ⅱ」「医療概論」「公衆衛生と保健医療福祉環境」「医療を取り巻く法律と経済」「社会保障と社会福祉」「地域医療論」を設定した。
この分野は看護学の理解をすすめるために関連が深く、専門基礎分野の知識を専門分野に概念レベルで統合できるように、各分野の科目間を横断的に思考させたい。そうすれば複雑性をはらむ看護場面での実践能力を育めると考える。
専門基礎分野内の赤十字科目
【災害医療論Ⅰ】1単位 15時間
災害の種類と健康被害、災害医療の特徴、災害時に適用される法律や制度などの社会資源、支援体制について、災害時における看護実践のための基礎的な知識を学ぶ。また赤十字の災害医療活動の支援の実際を学び、災害医療の担い手としての自覚を持つ。
【災害医療論Ⅱ】1単位 30時間
災害や日常生活の中で求められる一次救命処置や応急手当の技法を身につけ、いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守るための知識・技術・態度について学ぶ。 カリキュラム表はこちら
専門分野
専門分野は、領域とされる<基礎看護学><地域・在宅看護論><成人看護学><老年看護学><小児看護学><母性看護学><精神看護学>と各領域の<臨地実習>で構成される。(具体的な全科目名省略)
専門分野では、看護の対象を「地域でくらす人々」とし、子どもを産み育てる、育つ、学ぶ、働く、病を治す、老いとともに生きる、最期をむかえるといった暮らしと健康を柱として、全領域のカリキュラムが構築されている。領域は、1年次に地域・在宅看護論や基礎看護学から学び始め、3年次に看護の統合と実践領域を配置しているが、保健医療福祉の全体像やチーム医療などグローバルな視点を養うために、相互の関連性を意識し、全体的には各領域の科目が複合的に配置されている。
専門分野の領域で共通する学び方としては、学生が事実と概念を関連させて思考を統合できるよう事例や具体例、演習を通して、複数の関連概念を学べるように領域間で科目を横断的に設定した。
特には、<基礎看護学>に臨床判断能力育成の基礎となる「看護の思考Ⅰ・Ⅱ」を設定し、研究的視点をもって自己の看護実践を深く探求する「臨床実践探究」を設定した。<地域・在宅看護論>に「くらしと健康」「ヘルスシステム論」を設定し、くらしの意味、健康と環境、地域でくらすためのシステム等について学ぶ。「ヘルスケア教育論」では健康維持・疾病の予防のための自助・互助の考え方を基本にした「赤十字健康生活支援講習・支援員養成講習」と「赤十字幼児安全法・支援員養成講習」の内容を学ぶ。
<看護の統合と実践>では既習の知識・技術・態度を統合させ、チーム医療における看護師としての役割や専門職業人を目指す自己の課題を客観的に理解し、発展的に歩んでいけるようにすることをねらっている。具体的には看護をマネジメントできる基礎的能力を養うこと、災害看護や国際的な視野を身につける内容であること、看護実践力を強化し、学生が自信をもって看護専門職となれるような内容とし、「災害看護学」「国際看護論」「臨床判断演習」「看護マネジメント論」を設定した。
専門分野内の赤十字科目
【地域・在宅看護論―ヘルスケア教育論Ⅰ】1単位 20時間
ヘルスプロモーションの考え方や「赤十字健康生活支援講習」を通して、地域で暮らす高齢者が健やかに生きるために必要な、健康増進の知識や支援、事故予防や自立に向けた自助・互助・共助などの考え方を学び、くらしを支えるための方法や指導ができる基礎的能力を身につける。
【地域・在宅看護論―ヘルスケア教育論Ⅱ】1単位 20時間
ヘルスケア教育論Ⅰで学んだ赤十字の健康教育の内容を踏まえて、「赤十字幼児安全法」を通して、地域でくらす子どもの健やかな成長の支援や安心して安全にくらすための事故予防の方法や地域住民への指導ができる基礎的能力を身につける。
【災害看護学】1単位 30時間
災害状況に応じた看護活動や避難所での看護の実際やこころのケアについて学び、災害の種類・経過や被災者特性に応じた災害看護を理解する。また災害時における赤十字看護師の役割を理解し、災害看護の使命を担う自覚をもつ。
臨地実習
1年次に「生活者看護論実習」(地域・在宅看護論)1単位・「日常生活看護論実習」2単位(基礎)、2年次に「臨床看護論実習1」(基礎)2単位・「臨床看護論実習2」2単位(成人・老年)・「臨床看護論実習3」2単位(成人)、3年次に「地域・在宅看護論実習」2単位・「クリティカル看護実習」2単位(成人)・「生活支援看護論実習」2単位(老年)・「小児看護論実習」2単位・「母性看護論実習」2単位・「精神看護論実習」2単位・「統合実習2単位を設定した。
各分野の関連性
本校は、学生の体験を重視して看護教育をすすめていく。入学時から卒業時に向かって学校生活を含めて学生が成長する機会と考える。
3年間で学生が出会うであろう体験を教材化し、学生が体験をリフレクションし、学び方(知識の活用や深化のタイミング)を選択していけるよう(深い学習の活動となるよう)、各分野は関連性をもってカリキュラム配置している。深い学習とは、知識と知識を現象に応じてつなげて関連性からさらに深く思考し活用できるように構造化することである。
すなわち基礎・専門基礎分野から専門分野といった階段状に積み重ねるのではなく、ルービックキューブのように様々な分野の科目が組み合わさって、学生が体験している時点で関連性のある科目が組み合わさるように力動的に学びの過程を設計している。
本校は、臨床判断能力を育むための学び(臨床判断モデルTanner C 2006)を一部導入して「看護師らしく考えるために」必要な分析的・直感的・説話的な臨床推論の能力、知識・スキルと同時に知力を育むべく、従来の2次元から3次元のカリキュラム(文献:概念型教育Concept―Based Curriculum and Instruction for the Thinking Classroom)への転換を目指した。
基礎分野
教育内容 | 授業科目 | 単位数 | 時間数 | |
---|---|---|---|---|
基礎分野 | 科学的思考の基盤 | 情報リテラシー | 1 | 20 |
医療とAI | 1 | 15 | ||
倫理学 | 1 | 20 | ||
学びの技法Ⅰ | 1 | 30 | ||
学びの技法Ⅱ | 1 | 30 | ||
人間関係論 | 1 | 30 | ||
人間の生活・社会の理解 | いのちとセルフケア | 1 | 30 | |
社会学 | 1 | 30 | ||
心理学 | 1 | 30 | ||
異文化論・グローバルヘルス | 1 | 30 | ||
医療英語Ⅰ | 1 | 30 | ||
医療英語Ⅱ | 1 | 30 | ||
人権と赤十字 | 1 | 30 | ||
赤十字活動論 | 1 | 15 | ||
小 計 | 14 | 370 |
専門基礎分野
教育内容 | 授業科目 | 単位数 | 時間数 | |
---|---|---|---|---|
専門基礎分野 | 人体の構造と機能 | 解剖学Ⅰ | 1 | 20 |
解剖学Ⅱ | 1 | 20 | ||
生理学Ⅰ | 1 | 30 | ||
生理学Ⅱ | 1 | 20 | ||
健康と生化学 | 1 | 30 | ||
疾病の成り立ちと回復の促進 | 健康と栄養 | 1 | 30 | |
微生物と感染症 | 1 | 30 | ||
疾病論基礎 | 1 | 30 | ||
疾病論Ⅰ | 1 | 30 | ||
疾病論Ⅱ | 1 | 30 | ||
疾病論Ⅲ | 1 | 30 | ||
疾病論Ⅳ | 1 | 30 | ||
疾病論Ⅴ | 1 | 20 | ||
診断治療学Ⅰ | 1 | 30 | ||
診断治療学Ⅱ | 1 | 30 | ||
災害医療論Ⅰ | 1 | 15 | ||
健康支援と社会保障制度 | 災害医療論Ⅱ | 1 | 30 | |
医療概論 | 1 | 20 | ||
公衆衛生と保健医療福祉環境 | 1 | 20 | ||
医療を取り巻く法律と経済 | 1 | 20 | ||
社会保障と社会福祉 | 1 | 30 | ||
地域医療論 | 1 | 15 | ||
小 計 | 22 | 560 |
専門分野
教育内容 | 授業科目 | 単位数 | 時間数 | |
---|---|---|---|---|
専門分野 | 基礎看護学 | 看護学概論 | 1 | 30 |
看護共通基本技術 | 1 | 30 | ||
フィジカルアセスメント | 1 | 30 | ||
日常生活援助技術Ⅰ | 1 | 30 | ||
日常生活援助技術Ⅱ | 1 | 30 | ||
ナーシングバイオメカニクス技術論 | 1 | 30 | ||
薬物療法の援助技術 | 1 | 30 | ||
診療の補助技術 | 1 | 30 | ||
看護の思考Ⅰ | 1 | 30 | ||
看護の思考Ⅱ | 1 | 30 | ||
臨床実践探究 | 1 | 30 | ||
小 計 | 11 | 330 | ||
地域・在宅看護論 | くらしと健康 | 1 | 15 | |
ヘルスシステム論 | 1 | 30 | ||
ヘルスケア教育論Ⅰ | 1 | 20 | ||
ヘルスケア教育論Ⅱ | 1 | 20 | ||
在宅療養技術論 | 1 | 15 | ||
在宅臨床実践論Ⅰ | 1 | 15 | ||
在宅臨床実践論Ⅱ | 1 | 30 | ||
小 計 | 7 | 145 | ||
成人看護学 | 成人看護学概論 | 1 | 30 | |
クリティカルケア看護論 | 1 | 30 | ||
臨床セルフケア看護論Ⅰ | 1 | 30 | ||
臨床セルフケア看護論Ⅱ | 1 | 30 | ||
リハビリテーション看護論 | 1 | 30 | ||
ケアリングとコンフォート看護論 | 1 | 30 | ||
小 計 | 6 | 180 | ||
老年看護学 | 高齢者ハートフルケア論 | 1 | 30 | |
高齢者ライフサポート論 | 1 | 30 | ||
癒しのケア技術論 | 1 | 30 | ||
高齢者ヘルスケア論 | 1 | 30 | ||
小 計 | 4 | 120 | ||
小児看護学 | 小児看護学概論 | 1 | 15 | |
子どもの成長・発達と看護 | 1 | 30 | ||
子どもの健康障害 | 1 | 30 | ||
子どもを支える臨床看護論 | 1 | 30 | ||
小 計 | 4 | 105 | ||
母性看護学 | ウイメンズヘルスケア論 | 1 | 30 | |
マタニティライフケア論Ⅰ | 1 | 30 | ||
マタニティライフケア論Ⅱ | 1 | 30 | ||
周産期の疾患と看護 | 1 | 30 | ||
ウイメンズヘルスの疾患と看護 | 1 | 15 | ||
小 計 | 5 | 135 | ||
精神看護学 | こころのセルフケア論 | 1 | 15 | |
メンタルヘルス看護論 | 1 | 30 | ||
精神臨床看護論 | 1 | 30 | ||
精神障害の理解 | 1 | 15 | ||
小 計 | 4 | 90 | ||
看護の統合と実践 | 災害看護学 | 1 | 30 | |
国際看護学 | 1 | 15 | ||
臨床判断演習 | 1 | 30 | ||
看護マネジメント論 | 1 | 30 | ||
小 計 | 4 | 105 | ||
専門分野(学科)計 | 45 | 1210 | ||
【臨地実習】 | ||||
地域・在宅看護論 | 生活者看護論実習 | 1 | 45 | |
地域・在宅看護論実習 | 2 | 90 | ||
基礎看護学 | 臨床看護論実習Ⅰ | 2 | 90 | |
臨床看護論実習Ⅱ | 2 | 90 | ||
成人・老年看護学 | 臨床看護論実習Ⅲ | 2 | 90 | |
成人看護学 | セルフケア看護論実習 | 2 | 90 | |
クリティカルケア看護論実習 | 2 | 90 | ||
老年看護学 | 高齢者生活支援論実習 | 2 | 90 | |
小児看護学 | 小児看護学実習 | 2 | 90 | |
母性看護学 | 母性看護学実習 | 2 | 90 | |
精神看護学 | 精神看護学実習 | 2 | 90 | |
看護の統合と実践 | 統合実習 | 2 | 90 | |
専門分野(実習)計 | 23 | 1035 | ||
専門分野(合計) | 68 | 2245 |
単位数 | 時間数 | |
---|---|---|
総 計 | 104 | 3175 |