小児科

診療方針

 市内基幹病院の小児科として、地域の信頼に応え、子どもや保護者に寄り添い、子どもが健全に育つことを常に支援する立場に立った診療を心がけています。
 小児救急医療の充実のため、小児科医が24時間365日常駐し、かかりつけ医である開業医の先生方からの入院依頼や救急隊からの搬入要請に随時対応できるような体制をとっています。
 外来診療では一般小児科の診察に加えて、小児神経外来(けいれん性疾患、発達障害、頭痛、起立性調節障害など)、循環器外来(先天性心疾患、不整脈、川崎病など)、アレルギー外来(気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など)、腎臓外来(腎炎、ネフローゼ、蛋白尿・血尿など)、代謝・内分泌外来(糖尿病、低身長、甲状腺疾患、肥満など)、血液腫瘍外来、新生児フォローアップ外来、小児在宅医療などの専門外来を設置しています。さらに、必要に応じて各種検査入院予約も可能です。また、希望される方には乳幼児健診、予防接種の予約枠も設けています。

症例数・治療実績

・当院小児科の診療実績(平成22年~28年)

  小児科外来患者数 小児科入院患者数
  時間内 時間外 合計 時間内 時間外 合計
平成22年 21,306 5,168 26,474 963 725 1,688
平成23年 21,105 5,331 26,436 1,026 815 1,841
平成24年 21,105 5,251 24,902 1,014 872 1,886
平成25年 17,712 4,816 22,528 969 800 1,769
平成26年 17,967 5,165 23,132 1,057 858 1,915
平成27年 18,198 5,008 23,206 970 1,027 1,997
平成28年 17,031 5,376 22,407 950 1,023 1,973

・当院小児科における入院患者の内訳 ※高次搬送例等を除く

  平成27年(1月~12月) 平成28年(1月~12月)
原因 症例数 構成比 症例数 構成比
呼吸器 821 41.7% 744 38.0%
神経 265 13.5% 282 14.4%
消化器 198 10.1% 233 11.9%
新生児 152 7.7% 162 8.3%
アレルギー 135 6.9% 108 5.5%
検査入院 99 5.0% 95 4.8%
循環器 62 3.2% 96 4.9%
49 2.5% 37 1.9%
皮膚 47 2.4% 55 2.8%
代謝 43 2.2% 44 2.2%
外傷・事故 26 1.3% 32 1.6%
頚部 25 1.3% 29 1.5%
血液 19 1.0% 17 0.9%
骨・関節 11 0.6% 4 0.2%
先天異常 2 0.1% 8 0.4%
原因不詳 2 0.1% 1 0.1%
その他 11 0.6% 13 0.7%
総計 1,967 100.0% 1,960 100.0%

入院症例の中に感染症が占める割合:平成27年 1,967名中1,288名(65.5%)
                   平成28年 1,960名中1,251名(63.8%)

・感染症のために小児科入院となった症例(上位20疾患:平成28年1月~12月)

 頻度順 疾患名 症例数 構成比
1 気管支炎 304 24.3%
2 肺炎 247 19.7%
3 腸炎 194 15.5%
4 咽頭炎 115 9.2%
5 熱性けいれん 114 9.1%
6 尿路感染症 27 2.2%
7 クループ性気管支炎 24 1.9%
8 細気管支炎 18 1.4%
9 突発性発疹 17 1.4%
10 頚部リンパ節炎 14 1.1%
11 インフルエンザA(単独) 13 1.0%
12 蜂窩織炎 12 1.0%
13 扁桃炎 10 0.8%
14 軽症腸炎関連痙攣 10 0.8%
15 急性虫垂炎 9 0.7%
16 熱せん妄 7 0.6%
17 新生児感染症 7 0.6%
18 インフルエンザB(単独) 7 0.6%
19 気管支喘息 6 0.5%
20 ムンプス 6 0.5%
21 その他 90 7.2%
 総計 1,251 100.0%


・感染症以外の理由で小児科入院となった症例(上位20疾患:平成28年1月~12月)

順位 疾患名 症例数 構成比
1 川崎病 79 11.1%
2 てんかん 59 8.3%
3 検査入院(神経疾患) 57 8.0%
4 気管支喘息 46 6.5%
5 低出生体重児 39 5.5%
6 アナフィラキシー 31 4.4%
7 検査入院(食物アレルギー) 29 4.1%
8 TTN 27 3.8%
9 帝切児症候群 24 3.4%
 10 ケトン血性嘔吐症 19 2.7%
11 新生児黄疸 19 2.7%
12 IgA血管炎 15 2.1%
13 起立性調節障害 11 1.6%
14 新生児低血糖 11 1.6%
15 薬物誤飲 11 1.6%
16 腸重積症 10 1.4%
17 心因反応 8 1.1%
18 新生児仮死 7 1.0%
19 体重増加不良 7 1.0%
20 気胸 6 0.8%
21 その他 194 27.4%
 総計 709 100.0%

患者さんへ

 当院では予約診療を基本としており、できればかかりつけ医の先生にまずご相談いただき、当科外来を紹介していただくことをお勧め致します。ただし、緊急の場合にはまず電話をされてからご来院ください。
 平日一般予約の受け付けは8:30~16:30、当日予約の受け付けは8:00~11:00(R2.4.1より8:30~に変更予定)で、直通電話(075-212-6381)までおかけになってください。
 受診時には母子手帳、お飲みになっている薬の情報(お薬手帳など)、過去の検査結果などもご持参いただけると、大変参考になります。

 子どもの病気は進行が早い(悪くなるのも早いが、良くなるのも早い)上に、自分の病状を言葉で上手く説明することができないため、保護者の方が不安を抱かれるお気持ちはよくわかります。そして、「子どもは小さな大人ではない」とよく言われるように、大人の病気はそのまま子どもに当てはまりません。
 従って、救急受診の明確な基準を決めることは実は小児科医でも難しく、最終的には子どもの普段の様子をよく知っている人が見て、「ここがおかしい」、「普段はこんなことはしないのに」などといった普段と違う点を認めた場合が救急受診の何よりの理由となります。そして、「いつもと様子が違う」と感じとるためには、その前提として子どもの普段の状態をよく知っておくことが必要になります。
 保護者の方は、「子どもの健康を守れるのはいつも子どもの側にいる親である」という気持ちを忘れずに、「いつもと様子が違う」と感じた時はためらうことなく、速やかに救急受診をして、いつからどのようにおかしいのかを担当医に伝えてください。このような救急受診は結果的に単なる心配で終わることもあれば、病気の早期発見につながることもありますが、いずれにせよその経験を通じて親の観察力はより強化されていくので決して無駄にはなりません。

 なお、以下の場合は重大な病気の可能性があるため、速やかに救急受診をしてください(子どもの様子によっては、119番に電話して救急車を呼んでください)。

  1. 意識障害:ぐったりして意識がはっきりしない、呼びかけに反応しない、もうろうとしている
  2. けいれん:けいれんが5分以上続く、何度も繰り返す、けいれん後も意識が戻らない、嘔吐を伴う
  3. 頭痛:頭を痛がってけいれんが起こった、嘔吐を繰り返す
  4. 顔色:唇の色が紫色で、呼吸が弱い
  5. 呼吸:激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそうで顔色が悪い、上体を起こすよりも横にする方が症状がひどくなる
  6. 腹部:激しい下痢や嘔吐で水分がとれず食欲がなく意識もはっきりしない、激しい腹痛で苦しがり嘔吐が止まらない、便に血液が混じる、12時間以上尿が出ない
  7. 手足:手足が硬直している、爪が紫色になっている
  8. じんましん:虫に刺された後、食物を食べた後、何かを触った後に全身にじんましんが出て顔色が悪くなり、呼吸が苦しそうにしている
  9. 生後3か月未満の乳児の様子がおかしい
  10. その他:いつもと違って様子がおかしい場合

 日本小児科学会では学会HP上に「こどもの救急―おかあさんのための救急&予防サイト(ONLINE-QQ)、http://kodomo-qq.jp/」を開設しています。このサイトは生後1か月~6歳の乳幼児を対象とし、病気の内容を説明するものではなく、子どもの症状をコンピューターの画面上でクリックすることにより病院を受診するかどうかを短時間で簡単に調べるものです。また、受診せずに様子をみる場合の応急処置の方法や看病のポイントも掲載されています。

締めくくりに

 当科では小児科スタッフが子ども本人、保護者の方々と納得できるまで話し合い、スタッフ・子ども・保護者が協力し合ってチームとして病気の治療を進めていくことをモットーとしています。また、長期入院になる場合には院内に併設された養護学校(小学校・中学校)での学業継続が可能な環境も整えています。さらに、入院中には看護師による病気の応急手当の指導も行っています。
 当科では当院南隣にある京都市子ども保健医療相談・事故防止センター(京あんしんこども館)と連携して子どもの事故防止の指導にも力を入れています。京あんしんこども館(http://www.anshinkodomokan.jp/)には実際の家具を配置して家庭内の様子を再現した「子どもセイフティハウス」があり、子どもの事故がどのようなメカニズムで起こり、どのような予防対策が有効かをスタッフが直接説明してくれます。
 子どもの思いを代弁し、保護者が安心して子育てできる環境を確保し、生命力旺盛な子どもたちの健やかな成長を見守ることは私たち小児科スタッフの使命であるとともに喜びでもあります。

スタッフ

職 名 名 前 卒 年 専 門 資 格
部 長 Dr_kano2022加納 原 H7 小児血液
小児感染症
小児腎臓消化器
子育て支援
日本小児科学会・小児科専門医・指導医・代議員
日本血液学会血液専門医
ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター(ICD)
京都府立医科大学臨床教授
副部長 藤井
藤井 法子
H8 新生児
小児アレルギー
日本小児科学会小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会専門医(小児科)
医 長 小林 奈歩 H14 小児循環器
川崎病
日本小児科学会小児科専門医・指導医
日本旅行医学会認定医
近畿川崎病研究会世話人
日本小児突然死予防学会評議員
医 長 森岡 茂己 H14 小児神経
小児アレルギー
日本小児科学会小児科専門医・認定小児科指導医
日本小児神経学会小児神経専門医
日本てんかん学会てんかん専門医・指導医
日本アレルギー学会専門医(小児科)
日本小児科医会地域総合小児医療認定医・指導者
医 長 福原 正太 H19 小児代謝
内分泌
日本小児科学会小児科専門医・認定小児科指導医
日本内分泌学会内分泌代謝科専門医
医 師 金山 拓誉 H20 小児血液 日本小児科学会小児科専門医・認定小児科指導医
日本血液学会専門医・指導医
日本小児血液・がん学会専門医
日本造血・免疫細胞療法学会移植認定医
医 師 齋藤 多恵子 H21  小児救急
遺伝性疾患
日本小児科学会小児科専門医・指導医
医 師 久保 裕 H22 小児リウマチ・膠原病
小児アレルギー
日本小児科学会小児科専門医・指導医
日本リウマチ学会リウマチ専門医・指導医
日本アレルギー学会アレルギー専門医(小児科)
医 師 河瀬 泉 H29    
医 師 木村 洋介 H31    
医 師 野木森 智和 H31    

※ 当院は小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医取得のための研修認定施設としての認定をうけています。

外来当番表

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
AM 1診
新患
加納 藤井 加納 森岡 藤井
2診
再来

久保

齋藤

河瀬

金山  福原
3診
専門
小林
(小児循環器)
森岡 
(小児神経)
小児外科(1・2・4・5週)
大前(小児神経・在宅) (3週)
長村
(長期フォロー)
小林
(小児循環器)
5診     (小児外科)(3週)    
PM 1診

木村
フォローアップ

加納
(慢性疾患)
長村
(長期フォロー)

加納
フォローアップ

森岡・木村
神経(初診)

2診

野木森14:30~
予防接種・シナジス

(※4週はBCG)

福原
(小児代謝・内分泌)

小林
(循環器)

 

加納14:30~
予防接種・シナジス

(※4週はBCG)

 久保
(膠原病・消化器)
3診 森岡
(神経)

東道
(長期フォロー)

大前
(小児神経・在宅)

藤井
(食物アレルギー)

金山
(血液・腎臓)