この度、2018(平成20)年2月23日(金)、24日(土)の両日、京都市国際交流会館におきまして、第24回日本SIDS・乳幼児突然死予防学会学術集会を開催させていただくことになりました。実は当院の元副院長・小児科部長であられた故水田隆三先生は本学会の創設メンバーの一人であり、1997(平成9)年に開催された第3回学術集会の会頭を務められました。従って、当科が本学会のお世話をさせていただくのは今回が2回目となり、大変感慨深いものがあるとともに、誠に名誉なことと感じております。
本学術集会のテーマは「乳幼児突然死予防のための多職種連携―子どもたちの健やかな育成支援をめざしてー」としました。わが国におけるSIDSの発生頻度は減少しているものの、SIDSを含めた乳幼児の原因不詳の突然死(sudden unexpected infant death:SUID)はなお乳幼児の死因の上位を占め、その死因究明体制は極めて未整備な状態にあります。死亡原因が不明な突然死を予防することは現実的には困難です。事件性のない法医解剖の臨床側への情報提供にはなお高い障壁が存在し、小児科臨床と法医学の情報共有のためには現場検証を行う警察との連携が不可欠となります。また、死後CTやmetabolic autopsyにより法医・病理解剖では確認できない死亡原因を追究するためには、放射線科医、代謝・内分泌科医、遺伝子検索など多方面の専門分野との連携が必須で、虐待による死亡を見逃さないためには児童相談所、保健所、警察との情報交換が欠かせません。つまり、予防できる乳幼児の突然死を減らすためにはこれまで以上に多職種との連携が必要となることは明らかであり、テーマに沿ったシンポジウムを京都大学大学院医学研究科法医学講座玉木敬二先生と“連携”して企画しました。本学会が多職種連携を具体的に進めていくための手掛かりを探るためのきっかけになれば幸いです。
特別講演は「乳児特発性僧帽弁腱索断裂の臨床的特徴」というタイトルで、わが国における本疾患の代表的研究者である国立循環器病研究センター教育推進部長・小児循環器部の白石 公先生にお願いしました。本症は余り知られていませんが、報告例のほとんどが日本人乳児という原因不明の突然死をきたしうる疾患です。全国の疫学的データから病理組織学的検討も含めた、これまでの知見を集大成して系統的に解説していただきます。
「鳴くよウグイス平安京」でお馴染みの794年における平安京遷都以来、1200年以上の歴史と伝統を有する京都は季節感が日本で最も色濃く出る街でもあります。会場の京都市国際交流会館は東山連峰のふもとに位置し、周辺には平安神宮、国立近代美術館、京都市動物園、南禅寺、蹴上インクライン(琵琶湖疎水の京都側の終点)、哲学の道などがあり、京都情緒が堪能できます。また、石川五右衛門の「絶景かな~」で有名な南禅寺三門の先には赤レンガづくりの水道橋である水路閣があります。水路閣はロ-マの水道橋を模して作られ、映画やサスペンスドラマのロケ地としても有名で、画面で目にした方もおられるのではないかと思います。折しも2018年は明治維新150年にあたりますが、皆様方が早春の京都で新たな発見に遭遇されることを祈りつつ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げます。
第24回日本SIDS・乳幼児突然死予防学会学術集会
会長 長村 敏生